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「お目覚めですか?」
ベッドに横になったまま、ボーっと天井を眺めていた俺に向かって投げかけられた言葉。
「んーここのベッド固くてねぇ、すぐ目が覚めちゃうんですわ」
視線を動かすことなく淡々と告げる。こればっかりはこの先何年いても慣れることは無いと思う。
「それは、申し訳なかった」
別に謝って欲しいわけじゃないし、そもそも不満を口にしたつもりもなかったんだけど…
ただの感想に返ってきた侘びの言葉に、若干の居心地の悪さを覚え身体を起こす。
目の前にいるこの男は、鍵付の、プライベート皆無な、おそらく牢屋と呼ぶのが妥当だと思うこの部屋に閉じ込めている人間に対してやたらと礼儀正しい口調で接してくる。
「べつに謝られても…」
頭をポリポリとかきながら、欠伸交じりに言葉を返せば
「出してあげようか」
またよくわからないことを…
「えーっと…あんたに俺、連れてこられたんじゃなかったけ?」
「そうなんですが…気が変わったって言ったら、怒りますか?」
二年も経って、未だになんで閉じ込められてるのかもわからない今の状況で、ここに未練があるわけもなし。
モルモット的ななにかなんだとは思うけど、身体に認識できる異常も今のところ無し。
「まぁ、用無しなんっすね。じゃ、出いてきますよ」
「相変わらず自分の意思ってものが欠落しているんだね」
「いいっしょ、それが俺の生き方なんだし?」
たしかにココに来たのだって、連れ去られたわけでも、脅されたわけでもなく
ただ、来いと言われたからはいはいってついて来たわけだし
だからって意思が無いわけじゃないんだけどなぁ…たぶん。
考えながら数少ない持ち物をまとめる。
財布に…煙草、ライターっと。あとは…いらないか。
結局荷物らしい荷物もなく、ポケットに押し込んで身支度完了。
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