12人が本棚に入れています
本棚に追加
「くそーさぶいっ!」
ドスッ…
「っ…いっってぇぇぇ――!!」
ぶつかった。人通りもまばら。普通に歩いてただけのはずなのに
でもま、肉まんは無事だし。問題なし。
「あーごめん。だいじょぶ?」
大げさに鼻をおさえうずくまっている相手に声をかける。
一応。モラル的にね。
「ダイジョーブじゃねーよ!イテーじゃんかぁ…」
あーやっぱ怒っていらっしゃる?結構勢い良くぶつかったしなぁ。
身長差はざっと20センチ、鎖骨の辺りに鼻がぶつかったような…あ。ほら、半泣きだもんね。
鼻は痛いよなぁ。
けど、鼻をおさえつつも視線は何故か俺が持ってる袋。肉まんのほうへ向いているような…
「…なに?」
ひょいっと袋を持ち上げてみると、一緒に視線…というより、頭ごと袋の方へついてきた。
なにこれ、おもしろい。
「肉まん」
「はぁ」
なおもついてくる視線が面白くて袋を左右にふっていると、視線をはずすことなく中身を言い当てられた。
「それ!肉まんだよな!」
嗅覚・・・だろうか?
いきなりなんだとか、そんなことを考えるよりも彼の勢いがありすぎる喋りに飲み込まれていた。
「悪かったなとか、そんな気持ちでそれ、くれたりしない?」
「…いいよ。一つあげる」
「なんで笑うんだよ」
「ごめん」
最初のコメントを投稿しよう!