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「……おにーちゃん、水菜取ってほしいの」
僕には届かないところに置いてあったの。もっと六歳児にやさしい設計にしてほしいの。
「おー」
簡単に届いてる…、僕だって、僕だっていつかおにーちゃんのような身長に…!
「ありがとなの。あとは、お肉とその他の細々したものを買うだけなの!」
ーーーーーーーーー
買い出し終了!さっさと帰って夕飯を作らないといけないの。
「おとーさんが空腹に耐えきれなくなるの」
「あぁ…、あれはひどかったからな」
そうなの。少し前に夕飯の買い物の後、おにーちゃんと少し公園で遊んでから帰ったことがあったの。そのときは三十分くらい遅くなっちゃったんだけど、帰りついたら家がとんでもないことになってたの。
玄関に入ると焦げ臭いにおいがしたから、あわてて台所にいったんだけど、あまりにもぼろぼろで、しばらく茫然としてここどこだっけとか現実逃避しちゃったのも仕方ないと思うの。だってレンジにはとびちった黄色い何かが付着してるし、コンロには炭化しているのかダークマターが大量生産されてたんだもん!リビングの扉の前で固まっていると、奥からおとーさんが出てきて
『すまんっ!!』
って謝ってきたの。話を聞くと、おなかがすいて我慢できなかったらしく、何か作ろうとした結果がこれらしい。たった十分程度でどうしてここまで破壊させられるのかふしぎだったの。
そんなわけで、急がないといけないの!おにーちゃんと手をつなぎながら(迷子になったら危ないって離してくれないの)歩いていると、前からにやにやした気持ち悪い人たちが近づいてきたの。
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