776人が本棚に入れています
本棚に追加
重たい溜め息を吐き出してから、木箱の蓋を開ける。
そこには何度も目にした骨壷と、しおれた紫苑の花。
取り出してそっと壷の蓋を開ければ、白い小さな頭蓋骨が現れた。
父性が芽生えてから初めて対面する我が子が、こんな姿だなんて、悪夢のようだ。
けれどこれが紛う事なき現実。
慟哭と共に全てを破壊したいほどの哀しみが、私を飲み込まんと押し寄せてくる。
それは心の奥深くに根を張り、憤怒と憎悪の花を咲かせる。
花はやがて、復讐という実を結ぶだろう。
最初のコメントを投稿しよう!