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我が子の遺品を目にした途端、私の体が衝動に突き動かされてしまった。
宙をさまようかのようにふらふらと足が動き、隻眼が冷凍庫へ釘付けになる。
残された血液パックの横に、インドネシアの手術室で目にした憶えのある、金属製の瓶が並んでいた。
中身はもちろん、紫苑の体の一部。
私が自らの手で切り出した、内蔵や皮膚や眼球だ。
(紫苑……!)
原形をとどめない我が子との再会は、新たな哀しみとなって、私の胸に何本もの矢を放つ。
傷口からあふれ出した血がすぐに涙に変わり、次々に目からこぼれ落ちた。
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