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紫苑、紫苑、私の子供。 愛するアンと私の子供。 抑えきれない感情に従って、金属製の容器を胸にかき抱く。 断熱構造になっているため、中身の液化窒素で凍傷を負うことはないけれど、充分に冷たい。 その冷たさが、哀しみを増幅させていく。 我が子を抱きしめながら、声にならない嗚咽をあげ続けて、どれほどの時間が経っただろうか。 ふと見回すと、ゼロと花純の姿は、既になかった。 使い物にならない私に代わって、きっとゼロが花純と羽田に向かったのだろう。
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