第1章

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僕の彼女は完璧なんだ。 欠点……今の彼女にそんなものあったかな? 今日も待ち合わせ。  ほらもう一時間待ってるよ。 ……そこが良いところ。  僕の為に、きれいにして、おしゃれしてくれるから遅れるんだ。  あー来た。  そう、遅れる。なんていつも連絡なんてないよ。それはね、僕が返信する手間を悪いと思うからだよ。 「お待たせしてごめんなさいね。あのね来る時ね。欲しいコート見つけたの!一緒に見てもらえる?」 「もちろんだよ!行こうか」  ほらね。僕に好みかどうか見てもらいたくて、こうして甘えてくるかわいいなぁ。  彼女のお気に入りの店に着くと、店員が寄ってきた。 「あら!もしかして見つけちゃいました?あのコート!」 「うん。そうなの。彼に見てもらおうと思って、一緒に来てもらったの。即買いの勇気なくて……」  モジモジと僕の腕に腕を絡めて彼女が店員と言葉を交わすのを、ほんとにかわいいいなと思う。  店員が持ってきたカシミアのピンクのコートは、冷え性の彼女を暖かく包んでくれそうだ。  鏡の前で試着する彼女を見て、店員が「お似合いです!」と誉める。当たり前だよ。彼女に似合わないものがあるわけがない。  でも、彼女は申し訳なさそうに店員に返す。 「予算オーバーだわ。ごめんね」 「えっ!?似合ってるのに。残念ですー」  仕方ないな……後でこっそり買ってプレゼントのつもりだったけど今プレゼントしよう。今月は彼女の誕生日でもある。 「それ下さい。カードで」  僕はプラチナのカードを店員にスッと差し出す。 「えっ。ダメだよ。悪いよ。高すぎるもの……」 「よく似合ってるよ。誕生日だし。ちょうどいい」 「ホントに……ありがとう!嬉しい!」  その顔が見れるだけで僕は幸せだ。  そんな申し訳ない顔しないでいいんだよ。君がコートを着たら、まさに天使だもの。
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