第1章

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 わたしは自身の容姿を別段美人だと思ったことはないが、不美人ではあれども不細工だと思ったこともない。いうなれば、最も普通で地味で、形容する単語が見当たらないのが最大の特徴だ。  だって、まず図書委員をやっていてものすごく目立つ容姿の人や人気者を見たことが無い。美少女や美男子はいても、目立たないのだ。  例の彼と一緒にやってきた女の子は、少なくともわたしよりもずっと可愛かった。わたしの中で学年一の美少女は我がクラスの学級委員だから――ここは譲れない!――、一番ではないけれど、十分可愛い女の子だった。  もしかしたら彼女だったのかもしれない。  そんなこと聞けなかったし、聞いてショックを受けるくらいなら今まで通り、図書委員と一利用者という関係を続けていきたかった。  関係、だなんて言えるほどのものは何もないのに、そんなことはわたしが一番わかっているのに。
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