第1章

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 ――― 間違えた。    とても素敵な声の主、これも彼を彩る重要な情報の一つ。 「こんにちは。本お預かりします。・・・貸し出し期間は二週間です。どうぞ。」  わたしはいつもと同じように登録の作業をし、いつもと同じ言葉を口にする。  マニュアル化されたその通りにいつも、いつも、同じ言葉を。    わたしはアンドロイドか?と思ったこともある。  本を手渡そうとしたちょうどその時、空いていた窓から風が吹き込み、甘くていい香りを室内に運び込んだ。
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