第1章
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「いい、匂い・・・」 何気なく窓に顔を向けてつぶやいた。 「キンモクセイ、だね。」 わたしがハッと振り向くと、二人で一冊の本を手にした状態でにっこりほほ笑む彼と目があった。 「あ、ごめんなさい。本、どうぞ。」 彼のつぶやきには何も触れずに、そっと手を放した。 ありがとう、いつものようにお礼を述べた彼は本を手に取ると窓際へと向かった。
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