122人が本棚に入れています
本棚に追加
いつもは図書館の奥の窓際に座る彼だが、今日は空いていた窓から下をのぞき込んでいる。
なんとなく彼を目で追っていたわたしは、こちらを振り向いた彼と目があった。
その時すぐに目をそらせばよかったのだが、逆光に照らされる彼が美しくて、魅入ってしまっていた。今更ながら、バツが悪くなって下を向く。
小さく「おいで」と呼ぶ声が聞こえた。
パッと顔をあげ、「でも・・・」それだけつぶやき、カウンターから離れるわけにはいかない、そう伝えたくて首を横に振る。
「大丈夫、今日、誰も来てないよ。」
誰も来てない、といいながら遠慮がちにささやいて、わたしに手招きする。
最初のコメントを投稿しよう!