アップミントに魅せられて

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アップミントに魅せられて

いつものように、コンビニの前を通ると、制服のネクタイを少しルーズに締めて、リュックを背負った王子が話しかけてきた。今までこの道で出会った事はない。まさか…待ってた? 「アンタ、ハーブ屋の娘か…後ろの首元だけでもいいから見せろ!」 「しつこいですね…」 朝から目立つ人にウロウロされると、私が迷惑してしまう。仕方なくブラウスのボタンを1つだけ外して、見せる。私の後ろ首の下にはホクロが3つあって、線で結んだら丁度三角になる。香織いわく『トライアングルホクロ』それも嫌で見せたくなかったのだ。 「まさか…そんなアンタだったとは。一条…陽鞠。アンタと付き合う事にする!」 明らかに幻滅した嫌そうな顔で言われ、私は『はぁっ!?』と首を傾げるしかない。 「そんなに嫌なら無理して付き合わなくていいでしょ?」 「これ、アンタだろ?」 1枚の写真を目の前に突きつけられる。、あのピアノの発表会の集合写真。思わず、取り上げようとしたが、ヒョイっと交わされ 「小さい頃は天使だったのに、残念な仕上がりだな。あの時のアップルミント覚えてる?」 紅茶のインパクトがあり過ぎて、それ以外の事はあまり覚えていなかった。 「目の色のせいで苛められてたんだけど、アンタは飴くれて慰めてくれたよな?『猫みたいに綺麗な目』だって。それから俺は、誰にも文句を言わせないように努力しまくって、ザマ―ミロ!って今は思ってる」 「じゃあ、結果良かったって事で…」 「あの時の天使と付き合うって目標だけが達成されてない!」 小さい頃の苛めで、性格が捻くれたのは分かるけど、できれば平穏な学園生活を送りたい。 「不服そうだけど、意見は受け付けないし、まだ他にも写真がある事をお忘れなく」 「お…脅す気!?」 ニヤッと口元を上げると、グリーンの目が怪しく光ったように見える。まるで悪魔のようだ。
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