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今宵、僕は家に帰れない。
何を、言っているのかよく分からないと思うが話せば長くなるので少しずつ語っていこうと思う。
その前にまず、自己紹介くらいはしておくのが礼儀というものか..
僕の名前は「きさの 清井」
この手の名前は本当に面倒なもので、自己紹介の時などにどちらが性なのかよく分からないと言われるのには、もう慣れたものだ、と少し話しが脱線したが僕は(名前意外特に何の取り柄もないというと少し残念な感じがするのは、仕方ないのだろう)平凡な高校3年生だ。
そして、僕が体験したことは普通の高校時代では、まず体験する事もない体験だったのだがそんな体験を体験したのがよりにもよってこんな、冴えない高校生だったという事に運命とは皮肉なものだなと思う僕なのであった。
話は今から5時間前にさかのぼる..
それは、僕が家に帰れなくなる前の事..
その日、僕はいつも通りの時間にいつも通りの電車に乗り、休み時間に友人と戯れ、将来為になるのかもよく分からない授業を受け、何のへんてつもない1日を終えようと電車に乗った時に事は起こった。
その時犯してしまった過ちは間違いなく僕の人生最大級のものになるだろう。
特になんという理由もなく、僕は寝てしまったのだ。
それも、片道20分の電車の中でだ。
そして、目が覚めたのはそれから一時間後、電車は終点小川駅に着いているはずだったのだが
というよりも、着いていればよかったのだが...
外に出ると、光が僕を歓迎してくれた。(という、表し方はおかしいのだろうが本当にそんな感じがした。)
ホームには、人一人いない。というよりも電車の中にも人は乗っていなかった。
「おかしい...」
確かに、小川町は整備されていない道や未開拓地の広がる田舎だが、それでも人っこ一人いないというのは、さすがにないだろう。
それに、見渡してみれば、どうもおかしな駅なのだ、ここは。
夜の7時にしてみれば異様に明るい空、謎の言語が並ぶ時刻表、そして、駅名の書いてある看板というのかなんというのかという疑問は後で、Googleで調べるとしてそこに書かれている文字がぱっぱっぱ、と変わっているのだ。
ここが異常だと言うことはわかっていただけただろうか?
そのうえ、電車はあれから一本も来ない。
駅の周りには、コンクリートのバリケード。
かくして、僕「きさの 清井」はホームに閉じ込められてしまったのだった。
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