私の王子は光る君

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「もぉ、本当にすごくかっこ良かったんだから」  頬を赤く染めながら話すニィナに、カナとトーマはうんざりといった表情だ。 「わかったから、あんたの彼氏がどんだけかっこいいかはもう嫌ってほど聞いたから」  ミートソーススパゲッティを混ぜながらカナはため息混じりに言う。しっかり混ぜないとソースが全体に絡まらない。  ここは第21アイランドで唯一のショッピングモール。そのフードコートのミートソーススパゲッティはパスタに対してソースの量が少ない。もう少しソースを多めにしてくれればいいのにとカナはいつも思う。そう思いながらもミートソーススパゲッティを注文することはやめない。 「かっこいいだけじゃないの!仕事もできて、優しくて、もぉ完璧なの!」  いつもはハンバーガーセットを頼むニィナが、今日はもっと背が高くなりたいだとかなんとか言ってしらす丼にしていた。しかも、飲み物は牛乳というなんともミスマッチな組み合わせだ。思い込みの激しいところがあるニィナはいつもやることが極端なのだが、いちいち注意していたらきりがないとカナは何も言わなかった。だが、ニィナの完璧な王子様に関しては言わずにはいられなかった。 「でもさぁ、それって考え方一つじゃない?」  スパゲッティを混ぜ終わったカナが、視線を皿へ落としたまま言う。 「かっこいいっていうのはその人の好みだし、仕事ができるって言っても民間宙安会社でしょ?違法ギリギリの会社じゃない。今は治安維持のためだとかいってかなりの権限が許されているけど、国の法案次第でそんなのすぐに吹き飛んじゃうわよ。優しいのだって、優しいだけじゃだめでしょ。 時には決断力っていうか強引さっていうか、はっきり言ってくれるのも大事じゃない?」  完璧な人間などこの世にいるはずがない、と淡々と語るカナに、ニィナは不服そうに頬を膨らませた。周りの客達はフードコート中央に設置された巨大ディスプレイに流れるニュースに注目していた。近くの第18アイランドに宇宙海賊が侵入したというニュース。コメンテーターは海がないのだから海賊はおかしいだろうなんてことを話していた。
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