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「なっ、なに!?」
停電か。メインの照明が消え、わずかな非常灯の明かりのみとなった店内はすぐ近くのカナやトーマの顔がどうにか確認できるという程度だ。
停電はここだけか、他の建物もなのか、ここからは外の様子がわからないので判断しようがない。とりあえずショッピングモールを出ようと顔を見合わせた三人だったが、突然甲高い叫び声が響く。
「えっ!?」
悲鳴の方を見ると、フードコート横のエスカレーターを複数の人影がかけ上がってくるのが見えた。彼らは、昼時ということで大勢の人でにぎわっていたフードコートめがけてやってくる。アイランド内だというのに全身を覆う黒い船外服姿。手には長い棒のようなもの。それが銃だということはニィナにでもわかった。
宇宙海賊だ、と近くの客が叫ぶのが聞こえた。
さっきニュースでやっていた第18アイランドを襲った宇宙海賊か。彼らは客に銃を突きつけ、金品を奪っていく。
「カナ…………」
テーブル下にしゃがみこんでいたニィナは、隣にいるカナの袖を不安げに握る。
「静かにして、ニィナ。とにかく目立たないようにして、見つからなければ大丈夫」
自分も怖いはずなのに、カナの言葉はすごく安心できた。だが…………
「ニィナ!カナ!」
同じくテーブル下にしゃがみこんでいたトーマが悲鳴に近い声をあげる。彼の視線の先には、宇宙海賊の姿。海賊は拳銃を構えたまま無言で三人を見下ろしていた。
それはわずかな時間、なのにその時間がとてつもなく長く感じられた。恐怖で体が震えが止まらない。海賊が欲しがるような金品など三人は持ち合わせていない。このまま殺されてしまうのではないか、と悪い考えばかりが脳裏をよぎる。
「この三人は売れそうだな。連れていくぞ」
しゃがれた男の声がいったい何を意味しているのか、ニィナには一瞬わからなかった。だが、その海賊に抱えあげられ、ニィはナようやく理解した。
「ニィナ!!」
カナはニィナを助けようとするが、彼女もあとからやってきた海賊に抱えあげられてしまった。トーマは必死に抵抗しているが、無駄な抵抗だった。体格差がありすぎる。
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