第2章  夢なら覚めて

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その代わり、あまりの失態にどんな顔をして良いやら分からないまま、 私は、せめてもの大人の礼儀を口にした。 「あの、本当に色々ごめんなさい。 それで、昨日色々立て替えてもらった分、タクシー代、ホテル代、 結城くんの飲み代も含めて、お返しさせてください」 ところが、その場で消えてなくなりたい気持ちで申し出た私に、 彼は、不思議な事を言ってくる。 「卵とか、ソバのアレルギーってある?」 「は……?」 再び下げていた頭を上げた私の顔は、ポカンとしていたに違いない。 しかし、一応「別に」と答えた途端、目の前の彼が嬉しげに笑顔を広げた。 「じゃあさ、立て替え分はどうでもいいから、 ちょっと付き合ってもらいたい場所があるんだよね」
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