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だが、その行列の最後尾に並ぶと同時に、
私たちの前で、さんざめく女性たちの声に隠れるように、
彼が声を落として言ってきた。
「俺の勤めてる研究所って、この先の坂を5分くらい行った所にあるんだ。
だからずっと、この店が気になっててさ。
でもここ、昼間しか開いてないのに、
いつも居るのは、女性客かカップルだけなんだよ。
だから、なんか入るに入れなくてね」
低いがイソイソした彼の声音に、私は少し先の店内に視線を向ける。
確かに、並んでいる客も女性ばかりだし、
店内も、小物なんかをあしらった女性好みの赴きで、
男性一人では入りにくそうだ。
しかし、
「職場の人と行けばいいのに」
今日の目的も忘れ、ポロリと本音が零れた。
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