俺と夏の終わりは縁がない

よみがえりって知ってる？

都会の人からすると、駅や遠出をすれば賑やかになるような田舎。

って言ったら田舎に住んでいる人に怒られそうだけど、まあ都会でも田舎でもない平和な街だ。

そんな街に引越してきたのは、つい三日前。

俺は、今日からこの街の高校に通う。

そして、引越しの片付けも終わったところで、ようやく本格的な一人暮らしが始まる。

俺が元々住んでいたのはみんながすぐ想像するような都会。

ああいうところは苦手だ。

と言っても、田舎もごめんだ。

だからこの街を選んだ。っていうのが一つ目の理由。

二つ目の理由は、とにかくあの家を出たかった。

俺は一昨年の夏の終わりに、幼なじみ5人と両親を亡くした。

本当はいつも遊んでいた幼なじみの家に預かるつもりだったのだが、この事故でうちの両親の信頼を失い、知らない親戚に預かられたのだった。

その親戚の夫婦には可愛がってもらったものの、やはり壁があった。というより、自分から避けていたのだった。

とにかく息苦しいあの家から出ていきたくて仕方がなかった。

三つ目は、中学校の同級生と同じ学校には行きたくなかったから。

これもあの事故と関わっているということはなんとなく察せるだろう。