可愛い私の弟

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「姉ちゃんわかってるよね……?女子が喜ぶものだよ」 「はいはい」 軽く流しながら私達二人は雑貨屋さんを目指す。 すれ違う女子達が引き寄せられるように弟を見て黄色い声をあげている。 もう……だからこいつの隣歩くの嫌なんだよなぁ。 弟はそんな子たちには見向きもせずに淡々と歩く。 それから10分弱進むと私が好きな雑貨屋さんが見えてきた。 アンティークな外観がまた可愛らしいその店はここら辺に住んでいる女子からの評判がとてもいい。 男の人もけっこういる為、弟でも入れるだろうとここを選んだ。 弟と一緒に店内に入る。 可愛い小物が隙間なく並べられている光景に女子の血が騒ぐ。 弟の買い物が終わったら私も何か買おう……! 「何かお探しですか?」 笑顔が素敵な女性店員に話かけられる。 「えと、私じゃなくて弟の買い物なんですけど……」 「そうですか。ちなみに弟さんは何をお探しでしょうか?」 店員さんと私は弟に目を向ける。 弟は驚いたあと、また冷静な顔になって言う。 「ま、マフっ、ふ、マフラァ……」 一瞬、店内が静寂に包まれた気がした。 「マフラー探してます……」 冷静を極め込んでいた弟の顔がたちまち紅潮していく。 そう、私の弟はかなりのコミュ症なのだ。 女子限定の。 「マフラーですね♪ではこちらへどうぞ」 そういう人を何人も相手してきたのか、店員さんは笑顔を崩さずマフラーが売っているところまで案内する。 「あんたマフラーが良かったんだね……てか大丈夫???」 店員さんがいなくなると弟は私に抱きついてきた。 「怖かったぁ……」 可愛いんだけどねぇ。 もう高校一年なんだからさぁ……慣れなよ。 とりあえず私は、弟に入口で待っててもらい、自分の好みでマフラーを選んだ。 もちろんレジに持っていくのも私だ。
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