発見

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窓の閉まる音がして。 俺は、無意識的に、元いた場所に戻っていた。 そこに校長がいないとも限らないのに。 幸いにも、窓から見えたのは彼の背中だけ、こちらには気付いていないらしい。 さらに驚いたことに。 校長は、胸ポケットから、赤い、独楽のようなものを出して、カチッ、押した。 何かのスイッチか、と思ったその時、校長が黒い靄のようなものに包まれ、姿が一変、怪物が。 そいつの後ろ姿は、まるでゴキ……いや、やめておこう。 そいつは、右手に持っていた錫杖で床をトン、と一回だけ叩き、黒い煙と化してしまった。 そこには、あの怪物などおらず。 その煙が完全に消えたことを確認し、俺はその場を去った。
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