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「え……と……」
まずい。
あの表情。
確実に、バレてる。
いつ、気付かれたんだ、くそっ。
でも、“あれ”は。
こいつの、弱み、になる、はずだ。
「あぁ。もしかしてアタシのこと知らないのかぃ?モグリだねぇ。」
悠長に話す鬼島。
お前みたいな、派手なやつ、知らないわけ、ないだろ。
「なぁ、」
ようやく発した声は酷く小さく、そして、しゃがれていた。
緊張で喉も、口の中も、カラカラ、で。
「なんだい?」
余裕そうな鬼島の顔。
今から、それ、を崩してやる。
「お前、さっき、校長室に、いた、だろ。」
声が上ずらないよう注意したせいか、言葉がうまく続かない。
「……それが?」
少し、ほんの少しだけ、表情を変えた。
やっぱり。
「そんで、校長と、き、キ、ス、してた、ろ。」
聞き慣れない単語は、話すのにも、躊躇い、がある。
つぅか、正直、あんまし言いたくない単語、だ。
さすがにこれには表情を変えるはずだ。
しかし、俺の予想は大きく覆されることとなる。
鬼島は意外にも、
「……だから?」
と発したのだ。
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