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「鬼島―」
振り返ると、青い、制服、の上に、赤い、赤いどてらを羽織った、鬼島が、立っていた。
余裕、そうな、笑みで。
「噂をすればなんとやらだな。ちょうどお前の話してたんだよ、鬼島。」
べらべら喋る、千里。
俺の心理など、つゆ知らず。
まぁ、知ってたら知ってたで恐ろしいが。
「へぇ、アタシの。どんな話だぃ?是非聴かせてほしいねぇ。」
―わざとらしいやつ。
あからさますぎるだろうが。
「ちー、先行ってて。あと、先生に、俺、遅れるって。」
千里に“あれ”を聞かせるわけにはいかない。
そう、思って。
「へ?あー、うん。わかった。」
小学校来の幼馴染みだけあって、理由など言わなくても、察してくれた。
「……場所を、変えよう。」
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