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田中雅通、と、その幼馴染みの、茅原千里、を見送り。
「……で、いつまでそこで見てるつもりだぃ?……センセ。」
何もいない―わけではないのだが―空間に向かって、そう、言い放つ。
すると、カチッ、スイッチの押されたような音が響き。
黒い靄状のものが、人の姿を形作ってゆく。
「……いつから気付いていた。」
霧が晴れると、そこには、不機嫌そうな、不愉快そうな顔をした男が立っていた。
鮮やかな焦げ茶色の髪はきっちりセットされ、どこにもハネなどは見当たらない。
太陽に照らされたレザージャケットが光を反射し、思わず目を細めてしまう。
そう、この人物こそ。
「……最初から、さ。」
天ノ川学園高校の校長―速水公平である。
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