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今日私は、生まれて初めて告白された。
夕陽に照らされた、放課後の屋上で。
秋の涼風が優しく頬を撫で、ヒグラシと吹奏楽部の練習音が鳴き渡るなか。
向かい合って立つクラスメートの折坂くんが、私を見下ろして穏やかに微笑んだ。
「長谷部 鈴さん。あなたが好きです。……僕と、付き合ってくれませんか」
─────それはまるで。
少女漫画の1コマを切り取ったかのような。
恋愛ごとに疎い私でさえ眩暈がしそうなほど、キラキラした瞬間だった。
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