プロローグ

2/3
599人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
今日私は、生まれて初めて告白された。 夕陽に照らされた、放課後の屋上で。 秋の涼風が優しく頬を撫で、ヒグラシと吹奏楽部の練習音が鳴き渡るなか。 向かい合って立つクラスメートの折坂くんが、私を見下ろして穏やかに微笑んだ。 「長谷部 鈴さん。あなたが好きです。……僕と、付き合ってくれませんか」 ─────それはまるで。 少女漫画の1コマを切り取ったかのような。 恋愛ごとに疎い私でさえ眩暈がしそうなほど、キラキラした瞬間だった。  
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!