第1章

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僕の彼女は完璧だった。 容姿においても、性格においても、 ただ、ひとつ他人と違うことがあった。 僕の彼女は魔女だった。 比喩ではなく、正真正銘、魔女だったのだ。 「ミチエ」 「嫌わないで、嫌わないで、嫌わないで」 泣きながら彼女は言う。 僕自身がすでに彼女の虜なのに、嫌うわけがない。 「嫌わないよ」 「本当に?」 「本当」 抱きしめた温もりに安堵の息が聞こえた。 「例え、君がこの世界を滅ぼそうとしても、僕は許すよ。許してしまう」 それぐらい僕は君が愛しい。 「ただ、ひとりで元の世界に戻るつもりなら、僕を殺して行って」 その時、初めて彼女に頬を張られた。 「そんなこと、しない」 泣きながら言う彼女も愛しくて、僕は笑った。 「知ってる。ミチエが僕のこと愛してるの」 「……」 「僕の欠点は君に名前ごと心を奪われたこと、君の欠点は僕を愛したこと」 「……そうよ。だから、殺してなんかやらないし、世界も滅ぼしてなんかやらない」 泣きながら金色の双眸を輝かす美しい彼女を、僕はいつまでも見ていた。
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