第1章

6/7
前へ
/75ページ
次へ
「高校に通うの。平気?」 半分落ちた目蓋を、必死に押し上げようとする夏樹を抱き上げ ソファーに寝かした春樹が、毛布を掛けた 途端に、閉じていく瞳 「勿論。また手を繋いで登校しようね」 「・・・・・・ん」 嬉しそうに笑った夏樹が寝入ったところで、本題 「潰さなかったんだね。色街」 この街には通称“狐通り”と呼ばれる、全長12km 幅5kmの色街が存在する 大門から入って直ぐ、目に映る高級二大娼館 右に一級娼館(交歓)狐神立ち寄り場所 左に二級娼館(主楼蘭)神官・巫女休憩所 色街全体の20%は個人経営 30%を高橋一族 40%を神官・神谷一族 残りの10%は共同管理区域 学校・市役所・交番・給食センター・病院などを共同管理することで、綺麗さをアピール 一般人から富豪まで、幅広い客層を獲得してきた 「潰した後のリスクが大きくてな。楼主や神官どもと相談の結果、継続することにした」 家族や恋人によるDV被害 親族・友人の連帯保証人 ホストに入れ込み過ぎて、危ない職業の人に追われる男女の、駆け込み寺と化していた現実 『頼むから潰さないで下さい』 追われる身の彼らの逼迫した現状を、軽視出来ないと判断 お金の計算だけでなく、平仮名すら読めない色妓の存在を危惧した春樹たちは 全廃を撤回する代わりにと、高校進学制度を提案 年齢を問わず、学校への登校を義務化したのには当然、裏がある
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

154人が本棚に入れています
本棚に追加