第1章

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「大門を囲う霧が晴れない」 狐神を象徴する霧 以前であれば、高橋春樹率いる闇の一族の侵入を阻み、色妓の逃亡を阻止する役割を担っていた 「まさか・・・・・・何だけどさ。狐神の復活もしくは、神官の代替わりの可能性があるってこと?」 「そうだ」 狐神崩御とともに、力を無くした神官・神谷ー族から代替わりが生まれる可能性は低い 気紛れな運命の女神に 白羽の矢を中てられた人物は、誰なのか 「神官どもより先に、救出したい」 「どうやって見分けるのさ」 「判らん」 「それじゃあ、無理だよ」 「無理は承知の上で、頼んでる」 「空を飛んで雲を掴んで来いと、頼まれたようなものじゃないか」 眉を下げた冬樹が肩を竦め、苦笑いした 「どうして俺なの」 「お前だけだ。貢ぎ物としてでなく、狐神の住処に行った者は」 「残念だけど、幻影しか見てない」 しかも、六年前に一度見ただけの霧のような幻影しか・・・・・・、そうか! 「霧の気配を感じ取れってこと?」 「慎重にな」 代替わりが無事に、神官の座につけば 現在の代で、古代から続く高橋家の不幸は終焉を迎える 神官・巫女一族も立場を追われ、撤退 「神官の座に胡座を掻いてる連中にとって、撤退の選択は屈辱でしかない  確実に、代替わり抹殺を目論んでくるだろう」 抹殺に成功すれば、神官・巫女一族の血縁から代替わりが誕生する確率も高くなる 「うゎあ、最悪」 人を人と思わない傲慢な態度 高橋に巣くっていた金の亡者たちより、タチが悪いとの評判さえ耳にした アイツらの鼻っ柱をへし折り、蹴っ飛ばしてやれるなら 「分かった。神官連中に悟られないよう注意を払って、本命を捜し出してみるよ」
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