第2章

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2002年 4月7日 夏樹 10才 校庭に張り出されたクラス表 キャー、同じクラスよ やった! 一緒に遊ぼうぜ 喜び合う友だちのいない夏樹は、人の波が収まるのをじっと待ち続け トコトコ クラス表の前へと歩いて行く 5年3組 出席番号39番 高橋夏樹 38番は吉村さん 名前の順番関係なく、最後尾に置かれてしまった出席番号 泣いても仕方ないし、変化もない 自己紹介で熱気のある教室の扉を開け、黒板を確認 “自分の出席番号の貼ってある席に座って下さい” 39番の席は・・・・・・、あった 後ろにポツン 青いマジックで書かれた39番の席に座って、苦笑い 小さな夏樹に見えるのは黒板ではなく、人の背と頭だけ 鞄から取り出した友だちのパコ (ぼく、勉強も出来なくなっちゃった) パコを胸に抱いて、キュッと唇を噛み締める 泣いても、何も変わらない 涙を零してしまわないよう、息を詰め、じっと耐えた 「おはようございます」 朝のホームルームは、春の遠足の話から 寂しい 寂しい 班分けの中に、夏樹はいない 夏樹の全身から《寂しい》の感情が剥がれ落ちて、床に溜まっていく 机を倒されていた3・4年生の頃が懐かしい 「38人全員で、楽しめる遠足にしましょう」 「「はい!」」 存在すら認められていない5年3組の教室で、一人 凍えてしまいそうな寂しさに包まれた夏樹に、関心の眼を向ける者は居なかった
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