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restaurant & cafe **kureno**
営業時間 8:00~20:00
きゅきゅきゅーっ、とホワイトボードの文字を書き直す。専用ペンの匂いが客席のひとつで漂った。
パチンとキャップを閉めて書き上げたボードを店の外に持っていこうと椅子を鳴らすと。
「えり、ちょっと」
厨房の中から手招く店長様に呼ばれた。……厨房の中から?
「ちょ、何してんですか!」
「腹減ったから卵を……」
「レンジはやめてくださいっ!」
片手に二個持った卵を銀色のボウルに割りもせずに入れて、今にもレンジにinする五秒前。私は慌てて厨房に滑り込み、銀色のボウルを引ったくった。
「卵はレンジかけちゃダメって言ってるじゃないですか。しかも金ボウル!」
「卵焼き食べたくて」
余裕で身長180を超えるイケメンは長い指で私の頬を撫でながら、瞳をあまく光らせた。
「じゃあ、えりが作って」
「新しいレンジの買い換えと、残骸の掃除をさせられるよりなら私が作った方が地球にも私にもエコです」
ワケわかんないぞと店長に首をかしげられた。わかっててやってるんじゃなかろうな。
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