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真っ白な泡がもくもく、ぷくぷくと流れ込んでくる。硬直する私の鼻のあたまで、シャボン玉がパチンとはじけた。
「お、お姉ちゃん!?」
いったい何をしたらこんな事になるのー!?
「えりちゃあぁん……っ」
厨房の中から声がする。何かをやらかしたシェフ様は全身泡だらけで厨房に立っていた。またしても慌てて駆け寄った私は、慌てたおかげか泡に足を滑らせ尻餅。泡は逃げるばかりでお尻が痛い。
「だって、厨房の隅に洗剤があったから……」
泡だらけのお尻をさすりながら立ち上がると、私より泡まみれの美女は私がさっき使っていた洗剤を手に困り顔をしていた。
「あぁ、もう……ごめん、お姉ちゃん」
私はペンを片手に店の外へ。しっかりホワイトボード専用ペンであることを三回確認してから、キャップをきゅぽんっと取った。
Restaurant & cafe **kureno**
営業時間 8:00~20:00
本日、急遽大掃除の為、開店 12:00 より。
誠に申し訳ございません。
紅葉色付く秋の空に、私のため息が深く、重く……。
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