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「やだ…… そらってば、私のこと忘れちゃったの……?」
この世の終わりとでも言うようにショックな顔をしやがった。
さっきから散々名前呼んでるじゃねぇか。
「そうじゃなくてだな? なんでお前が此処に……」
「うわぁん! そらの馬鹿ぁー!!」
……話を遮るな、人の話を聞け、泣くな、馬鹿呼ばわりは傷つく。
俺は仕方なく、自分の部屋を出て行こうとする。涼香がうるさいしな。
「そらぁ……」
……泣き止むの早いな。 嘘泣きだったか……。
上目遣いで見られると出て行くのも躊躇われるな。
「チッ…… 落ち着いたところで改めて質問だ。 なんで此処にいる?」
「そらに会いに来たの」
即答且つ満面の笑み。なんなんだ?
「そんな近所に住んでる幼なじみ的なノリで言われても」
まぁ悪い気はしないけど……。
「幼なじみじゃん!」
顔をズイッと近付けられた。
もうこのやり取り面倒だな……。 こいつの言うことは無視して核心を突こう。
「最後に会ってから何年経ったと思ってんだ。六年だぞ? なんで昨日も会ったかのように入ってくる?」
そう。コイツは確かに六年前に引越したはずだ。俺の隣の家から。
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