第二章

5/7
前へ
/12ページ
次へ
 「それじゃその体は?」  「元々この体がどういう状態だったのか知らない方がいいので教えませんが、私が体にいられる時間は限られているんです。私の背中の物が黄色に変わったらあと一年位です」  「その時が来たら次の体を探して乗り移るのか…それを繰り返して何になるのか。あっいや、別に君に死んで欲しいと思っている訳じゃないが、どうして長く生きようとするのかね」  今日は酒の勢いもあって思った事を素直に言えた。  「さあ、生きていると面白いからでしょうか。もう何百年も生きていますが会う人達は変わらない。変わるのは時代で人間そのものはいつの時代でも同じで、その変わっていく環境の中で人間がどう生きていくのか観察するのが好きなのでしょうね」  急に達観した事を言い出した彼女に不思議と驚かなかった。  「それじゃいつかはお別れというか、記憶は引き継がれるから別の体で私と会う事もあり得るのか」  「えっ、もしかして口説いていますか?」  彼女は大声で笑った。  「そんな訳ないだろう」  私も笑いながら答えた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加