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「来るときは連絡しろって言っただろ?」
『ごめんなさい。ちゃんと謝るからお兄ちゃんとりあえず開けて?』
モニターの向こうで小首を傾げる瑠李ちゃんに、ユーリはため息を吐きながら解錠ボタンを押した。
「……悪い」
私に視線を移したユーリが、珍しく申し訳なさそうに謝った。
「何で謝るの?」
「たぶんあいつ、キララに会いに来たんだと思う」
「えっ?それってどういう――」
理由を聞く前に私はユーリに抱き寄せられ、唇をあっという間に奪われてしまった。
突然の出来事に驚きながらもドキドキと胸を高鳴らせていると、唇を離したユーリが口の端を上げて微笑んだ。
「瑠李が来たらこんなこと出来ないからな」
そう言ってもう一度だけ唇を奪ったユーリが、身を翻して玄関へと向かった。
「……復活しちゃった熱はどうしてくれんのよ」
残された私が呟いた言葉は、リビングに虚しく吸収されてしまった。
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