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「私がいること忘れないでっ!」
興奮した様子の瑠李ちゃんが、私とユーリを引き離すように両手を広げた。
「お兄ちゃん!私、ナオさんと二人で話すことがあるからちょっとどっか行ってて」
「は?」
瑠李ちゃんが私から引き剥がしたユーリの背中をグイグイと押して、リビングから追いやろうとしている。
「勝手に来ておいて今度はどっか行けだと?」
「そうだよ!お兄ちゃんが邪魔なの」
「は?邪魔なのは俺じゃな――」
「はいはいはいはーい!兄妹喧嘩はそこまでー!」
二人に漂い始めた険悪な雰囲気を断ち切るように、今度は私がユーリと瑠李ちゃんの間に割って入った。
「いいじゃない、女子トーク。楽しそう」
唇を噛みしめている瑠李ちゃんにそう言って笑い掛け、ユーリには目配せをした。
私の目配せを感じ取ったユーリはため息を吐き、「コンビニ行ってくる」と自らリビングを出て行った。
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