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異性への興味だとか、年上への憧れだとか。
それを身近であるユーリに対して抱いてしまったのだろうと、誰もが思うかもしれない。
けれど、瑠李ちゃんのこの表情は、女の子が好きな相手を想っている時のそれと、何ら変わりなかった。
「血の繋がった兄妹で結婚出来ないことは分かってたし、別に好きだって思ってるだけで……見てるだけで傍にいるだけで良かった。でもっ!」
瑠李ちゃんはポタポタと溢れ出る涙を手の甲で拭うと、握っていたグラスから麦茶を一気に飲み干した。
「一人暮らしするって言って私から離れて行って、結婚するって帰ってきたと思ったら数ヶ月後に別れたって……、あのお兄ちゃんが……お兄ちゃんがあんな傷付いた顔してるの見たらッ」
言葉を詰まらせた瑠李ちゃんが、ボスッとソファーに拳を沈ませた。
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