番外編②

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そして帰りの車中、案の定ユーリからの追求が始まった。 「……何が引っ掛かった」 「引っ掛かるって?」 「とぼけるな、途中から様子がおかしかったことくらい分かってる」 苛立ったように頭頂部を混ぜられ、そのままコンッと頭を弾かれた。 ぐしゃぐしゃになった頭を手ぐしで直しながら、ユーリには隠し事は無理かとため息を吐く。 「……ユーリのお母さんは……私に仕事、辞めて欲しいんだな、と思って」 理由を口にしながら、お母さんの冷たい視線を思い出して涙が込み上げてきてしまう。 もっと早くに挨拶をして、もっと沢山話をして、もっとお互いを理解し合っていたら、結婚だってスムーズに何のわだかまりもなく出来ていたのかもしれない。 そう思うと、後悔の念がこれでもかというほど襲い掛かってくるのだ。
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