魔女狩り狩り

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 くそ、だから早い所ずらかりたかったんだ。警報ベルや地雷魔法の騒ぎを聞きつけて援軍が来てしまった。さっきのバラバラ死体、どう見ても五十人はいなかった。まだ他にオークの手下は残っていたのは明白だったのだ。兵士達が走り寄ってくる。私は身を乗り出さず、指揮棒だけ大広間に向けて魔法を乱射した。爆音と悲鳴。何人かは倒せただろうが、この程度じゃ牽制にしかならない。向こうも警戒して近付いてくることはなくなったが、相変わらず銃は撃ってくる。お互い身を隠しての遠距離攻撃の膠着状態になってしまった。しかし、確実にこちらが不利だ。こっちは私以外はか弱いただの女。向こうは武装した兵士が複数。時間が経てば更なる援軍が来るかも知れない。私の魔力も無限ではない。もたもたしてたら確実にやられる。後ろでは女達が不安そうに私を見ていた。そんな目で見るんじゃない、今考えてるんだ。仕方ない、イチかバチかだ。私は攻撃の手を止めた。 「……よし! 攻めるぞ!」  私が弾切れになったと思った兵士達が、再びこちらに向かって走ってきた。まだだ……もう少し引きつけて……いまだ! 私は一瞬だけ身を出し、大広間を支える柱全てにありったけの魔力をぶっ放し、すぐに引っ込んだ。支えを失った天井が兵士達目掛けて落ちてくる。 「う、うわあああ!!」  凄まじい轟音。大量の埃がこちらまで流れ込んできて、皆が咳き込んだ。やがて埃も落ち着き、静かになった。 「や、やったんですか?」 アイリスがおそるおそる聞いてきた。 「多分ね」  しまった。私を突き飛ばした兵士はあの中にいたか? 奴は確実に殺しておきたかった。まあ、多分爆死か圧死どっちかはしただろう。とりあえず、一時はどうなるかと思ったが、何とかなったようだ。そう思ったのも束の間、地鳴りがして壁にヒビが入り始めた。 「……まずいね、早く脱出しないと崩れるよ」 「ええ!?」
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