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これは一体どういうことだ。ついこの間まで、ここにはオークの館が建っていたはずだ。しかし目の前にあるのは瓦礫の山じゃないか。兵士達もその光景を呆然と眺めていた。
「おい貴様ら、何をボケッとしてる! 瓦礫を掘り起こして何があったのかを調べるんだ! いないとは思うが、一応生存者も探し出せ!」
兵士達が一斉に瓦礫を掘り起こし始めた。しかし、この状況では何か手がかりが見つかる可能性は低いだろう。
「チェリー、一体どうなってる?」
「さあ……私も初めて来たので、現状では何とも」
「うひゃあああぁ!!」
突然兵士が悲鳴をあげた。駆けつけた周りの兵士も、何かを見て驚愕している。なんだなんだ?
「どうした、何か見つけたのか?」
「ウォルナット王……こ、これを」
うっ! これは……。恐らく元々本棚であっただろう箱の中でオークが死んでいた。しかも股間に穴があいており、ふんどしは血で真っ赤に染まっていた。箱の中には大量のドブネズミとこいつらの糞、食い散らかされたオークの肉片や汚物。それらによる凄まじい異臭。死体は見慣れているが、ここまでむごいのは初めてだ。しかし、これでハッキリした。これは事故ではない。何者かの手によって、オークの軍は壊滅させられたのだ。その後いくら瓦礫を掘り起こしても、犯人の手がかりは得られなかった。
*
あれから丸二日。未だに有力な情報は得られない。俺は自室で苛つきながら煙草を吹かしていた。オークが死んだこと自体は別にどうでもいい。しかし、我がフォレスト国に牙をむく者がいるということは断じて許せん。一体誰がやったのだ。最近関係が悪化してきたリバー国か? いや、幹部を殺せば戦争は避けられない。さすがに我が国と戦争して勝てるとは思ってないだろう。ならば、ガーデンの軍の残党か? それこそあり得ない。王もいないのに、今更再戦を挑んで何になる。
「失礼します」
「むっ。親衛隊長か、どうした?」
「壊滅直前のオーク軍の目撃情報が掴めました。どうやら、いくつかの町で女狩りをしていたようです。オーク将軍は何年かに一度、ガーデン各地で美しい女を狙って攫っていたようです」
「なんだと? そんなの初耳だぞ。あの豚野郎が、くだらないことをしやがって。ん……? まさか、その攫われた女達の中に犯人がいるってのか?」
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