魔女狩り狩り

22/68
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
カトレアが旅行から帰ってきた。今回も長旅だったようで、ガーデン各地の名物土産をどっさり持ってきた。食べ物はいいとして、置物や飾り物はそろそろ勘弁してほしい。置き場所がなくなってきたのだ。 「それにしても心配したんだよロゼ。はぐれた後に結局見つからなかったしさ。あたしはてっきりオークに攫われちゃったのかと」 「心配したって言う割に、その足でそのまま旅行に出かけたみたいだけど?」 「うっ……だ、だってその日の夕方の列車の指定席買っちゃってたんだもん。まあ、あんたがあんな奴らに捕まるようなタマじゃないって信じてたからだよ! それより、さっきから気になってたんだけど……」  カトレアが私の隣に視線を移して言った。そういえばまだ紹介してなかった。 「ああ、この子はアイリス。遠い親戚の子で、いろいろあってうちで一緒に暮らすことになったの」 「アイリスです。初めまして」 「へぇ、こんな可愛い親戚の子がいたんだ。あたしはロゼの友達のカトレアよ。よろしくね、アイリス」  カトレアにはこう説明した。カトレアとはぐれた後に町で迷子になっているアイリスを見つけた。私を訪ねてきたそうで、オーク軍が去った後で、案内がてら町や村を散歩していて帰りが遅くなったと。全部嘘だが、一応矛盾はしていないはずだ。  祖母からは深くは聞かれなかった。彼女が自分と同じ魔女であること、うちに住まわせてあげたいとだけ言うと、それで納得してくれた。どう説得するか帰りの車の中でいろいろ考えていたが、その必要もなかった。 アイリスは育てれば必ず大きな戦力になる。明日からも引き続き猛特訓だ。しかし、オークを殺してしまった以上、もう時間の猶予はあまりない。既に戦いの火蓋は切って落とされたのだから。 第四話 足手まとい  次の標的をバーチに定めた。拠点はガーデン城の南西。気性の荒い剣の達人の小男。手下は推定で約五十人。肺を患い、少し前から医者の往診を受けている。現状判明している情報はこれだけだ。だが、上手く医者に化けて侵入出来れば、オークの時同様、内部から一気に潰せる。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!