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私達は扉側の壁の両端に張り付き、扉を凝視した。しばらくすると、足音が聞こえてきた。一人じゃない……複数のそれが、この部屋の前で止まった。扉が勢いよく開けられ、武装した兵士が一気に乗り込んできた。それと同時に爆音と悲鳴。今さっき扉の前に仕掛けた地雷魔法にまんまと引っかかり、室内に兵士の身体が飛び散った。
「くそっ、やはりバレてたね。アイリス、一旦部屋を出て隠れるよ!」
「は、はい!」
何故バレた? どこかに落ち度があったのか? 考えても仕方がない。幸い先制はとれたのだ。こうなってしまった以上、もうやるしかない。私達は隣の部屋に隠れ、扉の隙間から外の様子を伺った。すぐに兵士達が駆けつけてきた。今度は約十人。兵士達がこの部屋を通り過ぎたのを見計らい、部屋を飛び出した。奴らが振り返り武器を構えるが、私の魔法の方が早い。指揮棒から火炎放射器のように炎を噴出させると、奴らは一瞬で火だるまになった。
「すごい……」
「感心してる場合じゃないでしょう。その万年筆は字を書くために持ってきたのかい?」
更に援軍が来た。前から後ろから、槍と盾を持った兵士が突っ込んでくる。狭い廊下で挟み撃ちにあった。
「そっちはあんたに任せる! 一人も近づけさせるんじゃないよ!」
「はいっ!」
背中はアイリスに預け、目の前の敵に集中した。先ほど同様に火炎放射を放った。しかし、人の大きさほどもある盾によって阻まれた。それならば……。私は指揮棒で大きく円を描くと、空気中の水分が凝縮され、巨大な氷の塊が現れた。それを兵士達に向かって飛ばしてぶつけると、ドミノ倒しのように兵士達がバタバタと倒れた。そんなでかい盾を持っていたら、この程度の攻撃も避けられまい。
「もう一度こいつをくらいな」
再度火炎放射。今度こそ火だるまの出来上がりだ。こっち側はこれで全部片付いた。
「ロゼさーん!」
後ろを振り返ると、逃げるアイリスと追う兵士達がこちらに向かってきていた。全然敵の数が減っていない。よく見ると、壁、床、天井のあちこちがえぐれている。魔法を連発して足止めは出来ていたものの、どうやら全く当たらなかったらしい。
「何やってんだい! 逃げてないで迎撃するんだよ!」
「ま、魔力が切れました……」
私は頭を抱え、深くため息をついた。私はさっきと同じように氷をぶつけ、火炎放射でまとめて片付けた。
「すみません……」
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