魔女狩り狩り

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「……もういい、足止め出来ただけで充分だ。さっさと行くよ」  アイリスはしょんぼりしながら後ろをついてきた。まあ、あまり期待しすぎるのも酷というものだ。初めての実戦にしては上出来な方だろう。それより、早くバーチを探さないと。  その後も何度か兵士達に襲われたが、禁呪の数々を駆使して何とか一人で切り抜けた。アイリスはもう戦力にならない。兵士を一人捕まえ、脅してバーチの居場所を聞き出した。最上階の突き当たりの部屋。ここにバーチはいる。私はトラップに注意しながら、勢いよく扉を開けた。 「……あん? 何だよ、手下共は全滅か? ったく使えねえ奴らだな」  椅子にふんぞり返って座っている。こいつがバーチか。箒みたいなツンツン頭に、チンピラみたいな人相の悪い顔。私よりも四十センチは低そうな低身長。新聞で見たとおりだ。 「よく見抜いたじゃないか。私達が敵だって事がさ」 「けっ。ウォルナット王から連絡があったんだよ。二人の魔女が俺らを狙ってるから気をつけろってな。そしたらこのタイミングで、いきなりいつもの医者に代わっててめえらが来たってわけだ。察しがつくぜ。まあ、間抜けにもてめえらを入れちまった警備員はさっき処刑したがな。ったく、せっかく治りかけてんだから安静にしろって医者から言われてんのに手間かけさせやがってよ」 「……おい、どうして敵が二人の魔女ということが分かった?」 「は? 知らねえよ。ウォルナット王がそう言ってただけだ」  おかしい……。オークが死んだことから何者かがフォレスト軍を狙っていることは推測できても、それが二人の魔女ということまでは分かるはずがない。一体どうして……? 「第一そんなこと知ったってしょうがねえだろ? てめえらはここで……死んじまうんだからよぉ!」  バーチが剣を抜いて襲いかかってきた。指揮棒から火球を三つ飛ばしたが、素早い動きで避けられた。 「おらあ!」  至近距離に入られ、剣を振り回された。何とか躱すが、いくつかの攻撃は避けきれず、体に切り傷ができる。 「ロゼさん!」  ちっ、アイリスの魔力が切れてなければ、私が引きつけている間にアイリスに攻撃してもらえたものを。しかしそんなことを言っても始まらない。私一人で切り抜けなくては。だが、さすがに武闘派の将軍というだけあって強い。こちらの攻撃はことごとく避けられ、すぐに距離を詰めてくる。
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