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澤木君は俺のどこに惚れたんだろう?
「ほんの少しだけ、優と雰囲気が似てるから」
優とは木邑君の事で、三年の俺ですら彼の噂で聞いたことがある。一年の吾妻君ほどではないけれど良い噂は聞かない。
澤木君は彼と幼馴染だといい、実際には知らない子と似ていると言われても俺にはピンとこない。
「会う度にビクついてくるし、俺の顔色をうかがうようなことをするし。それがずっと気に食わなかった」
とも言われた。
好みは仕事の出来る美しい女性だと言っていたのに、今でも思い出すだけで腹が立つ。
俺に対しての態度も変わったっけ。苗字すら呼んでもらえなかったのに、いつの間にか樹と呼び捨てにされ、敬語を使わずため口で話す様になっていた。
嫌われていると思っていた澤木君が俺に惚れていている。今でも信じられない気持ちでいるのは俺を理由が解らない。
「澤木君、俺のどこが好きなの?」
ねぇ、教えてよ。
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