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「ごめん、でも無理」
半泣き状態で真一から離れようとすれば、後頭部を押さえつけられ唇を奪われた。
「んっ」
真一からのキスはとても気持ち良くて、このまま蕩けてしまうんじゃないだろうか。
「しん、いち」
崩れ落ちる体をそのまま真一が押し倒して服の中へと手を入れる。
さわさわと肌を撫でる手に、びくっと震えた。
「ん、しんいち、だめ」
「エロいキスをしてくれたらやめてやる」
無理って言ったのに、まだ強請るか。
「真一のいじわる」
ぶわっと涙があふれでる。どうしてそんななの、君は。
「はぁ、わかった。何もしないから泣くな」
と真一は親指の腹で涙を拭い取る。
「さて、そろそろ戻るか」
予鈴がそろそろなるころだと真一が起ちあがる。
「うん」
俺は弁当箱と水筒を抱えて立てば、真一の腕が回りグイッと引き寄せられる。
ふわっと耳元に息がかかり。
「樹、試験が終わったら覚悟しとけよ」
と俺の耳に囁いて、真一は部屋を出て行った。
「……ん、何の覚悟?」
首を傾げながら何の事かなと考えていた所で、真一が俺の肌を撫でていたことを思いだして、一気に熱が上がる。
そういうことだよ、ね、たぶん。
うう、俺、ちゃんとできるのかな。キスだけでいっぱいいっぱいなのに。
「うわぁん、真一のバカぁ」
なんで去り際にそんな事を言うんだよ。俺はそのまま床に力なくしゃがみ込んだ。
試験が終わり、あれから、俺はがっつりと食べられました。
しかも真一が優しくて、おねだりをいっぱいしてしまった。
今思い出しても恥ずかしい。
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