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ひとの唇を奪っておいて随分な言いようだ。俺は流石にカチンときて、
「あ、そうですか。じゃぁ、自分の好みの人とお付き合いすれば良いよ」
君のことなんて好きじゃないしと付け加えて言ってやったら、澤木君が怖い顔をして俺を睨む。
「俺のことが嫌いだと? ふざけんなよてめぇ」
と、怖い顔をして俺を睨みつけられた。
澤木君、それはただの脅しデスヨネ……。
それにしても、俺には「嫌う」という選択肢はないのかな?
「凡人の癖して、この俺を惚れさせた責任はしっかりとらせるから」
何気に酷いことを言われた。しかも、惚れさせた責任をとらせるとか、なんなの、それ。
そう心の中でツッコミを入れていた俺の唇を再び奪い、強引に割り込んできた澤木君の舌が、俺の歯列をなぞり舌を絡めとる。
「ん……、ふぁ」
あぁ、これはやばいやつだ。
気持ちの良いその口づけは芯から痺れさせ、思考はトロトロに蕩けだす。
俺は澤木君に応える様に、自分からも舌を絡めはじめた。
「ふっ」
間近で微笑まれて胸が高鳴り、それもプラスで俺の腰が砕けて足に力が入らなくなり澤木君に身を預ける。
ぺろりと俺の唇を舐め、そして口角を上げて、
「次はお前自身を頂くから、覚悟しておけよ」
なんて恐ろしいことを澤木君は俺の耳元で囁いた。
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