1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「あの地獄からもう9年になるのか…」
レナードはそう呟いた。そうあの地獄から9年。最近はあの悪夢を見ることも少なくなってきた。自分なりに新しい家で楽しく過ごせるようになったからだ。
だがまだ部隊は人数不足。9年前のようにサッカーさえもできない。
「しかし肝心のボスはまだ帰ってこないし、てか帰ってくんのか?」
だれかが呟いた。オリバーだ。あいつはお調子者だがいい奴だし。面白い奴だ。昨日なんか、素手で魚を捕ってくるとか言って海に飛び込んで、死にかけたしな。
「たぶん帰ってくるよ。たぶん。ただ帰ってきたらどう対応すればいいか…」
ちょっとひ弱な声が聞こえた。ディビッドだな。才能はあるのにちょっとヘタレ。惜しい奴だな。
「とりあえず待とう」「信じよう」「てかそろそろなんか食べようぜ。腹減った」
みんないろいろ言ってんな。さてと…おれもそろそろ仕事に戻るか。ん?あれは…
レナードの視線の先に見えたのは、ダイヤモンド・ドッグズの副司令、未だ司令官無しのこの部隊の実質的リーダーである、カズヒラ・ミラーだ。何やら興奮気味の顔でこちら走ってきた。そして喜びを隠さずこう言った。
「やったぞ!ボスが目覚めた!ボスが帰って来るぞ!」
最初のコメントを投稿しよう!