ダイヤモンド・ドッグズ

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「あの地獄からもう9年になるのか…」 レナードはそう呟いた。そうあの地獄から9年。最近はあの悪夢を見ることも少なくなってきた。自分なりに新しい家で楽しく過ごせるようになったからだ。 だがまだ部隊は人数不足。9年前のようにサッカーさえもできない。 「しかし肝心のボスはまだ帰ってこないし、てか帰ってくんのか?」 だれかが呟いた。オリバーだ。あいつはお調子者だがいい奴だし。面白い奴だ。昨日なんか、素手で魚を捕ってくるとか言って海に飛び込んで、死にかけたしな。 「たぶん帰ってくるよ。たぶん。ただ帰ってきたらどう対応すればいいか…」 ちょっとひ弱な声が聞こえた。ディビッドだな。才能はあるのにちょっとヘタレ。惜しい奴だな。 「とりあえず待とう」「信じよう」「てかそろそろなんか食べようぜ。腹減った」 みんないろいろ言ってんな。さてと…おれもそろそろ仕事に戻るか。ん?あれは… レナードの視線の先に見えたのは、ダイヤモンド・ドッグズの副司令、未だ司令官無しのこの部隊の実質的リーダーである、カズヒラ・ミラーだ。何やら興奮気味の顔でこちら走ってきた。そして喜びを隠さずこう言った。 「やったぞ!ボスが目覚めた!ボスが帰って来るぞ!」
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