BIGBOSSの帰還 その1

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BIGBOSSの帰還 その1

3月21日の夜、オセロットが帰ってきた。レナードは彼に、ボスは?副司令は?と聞いた。オセロットは「大丈夫だ。ボスはミラーの救出に成功した。今こちらへ向かってる。」そう言って立ち去った。 とりあえずレナードは全員にこの事を伝えた。とうとうBIGBOSSが帰ってくるのだ。誰も眠れるわけがなかった。 朝になり、太陽もとっくに昇っていたその時、ヘリの音がかすかに聞こえた。BIGBOSSを乗せたヘリ「ピークォド」が帰ってきたのだ。レナードとオリバーとディビッドは真っ先にヘリポートへ向かった。が、もうオセロットがいて、「部屋にある医療セットを取って来てくれ」と言った。何に使うか分からんが、医療セットを持ち、ヘリポートに3人は着いた。 そこにいたのはガッチリとした肉体、簡易的なものではなく、筋肉のついた右腕と同じように大きく、まるで血の如く赤い義手、右目には眼帯をしており、残された左目には怒りと哀しみを2つとも感じるような碧眼だった。 長い襟足は縛り、頭には鬼の如く破片が刺さっている。そんな男がいた。9年前とはかなり変わり果てた姿だが、これだ、これこそ、BIGBOSSだ。 そんな感動もつかの間、3人は目を疑った。さらに変わり果てた姿の男がいたからだ。 BIGBOSSに肩を貸され、どうにか歩いている副司令、カズヒラ・ミラー。副司令の右手と左足が無くなっていて、相当衰弱している。3人は呆然と立ち尽くしていた。オセロットが声をかけて、ようやく応じた。他の仲間達も来たが、何も言えなかった。レナードはミラーに杖を渡し、体を支えて歩行を手伝おうとしたが、ミラーに拒まれ、杖を自分でつきながら運んできた台車に腰をかけた。オリバーが体を寝かせてやり、ディビッドが酸素マスクをつける。しかし酸素マスクをミラーが振り払った。ディビッドがおそるおそる再びつけようとするとオセロットが「いい、好きにさせろ」と言ったので、つけなかった。 「サイファーを討とうボス。その為に力を溜めるんだ。」ミラーは声を絞り出すように言った。 「だがカズ忘れるな。俺達は過去じゃなく、未来の為に戦う」BIGBOSSは静かに言った。この声だ。レナードが9年間、ずっと望んでいた声。 9年の時を超え、BIGBOSSが帰ってきた。
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