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実は、あの時は驚きのあまり、聞き流してしまったのだが、
後々思い返すと、彼の、あの言葉の意味を分かりかねた。
しかしそれに彼は、少し照れ臭そうに視線を俯ける。
「実は、あの頃はまったく自覚がなかったんだけどね。
俺、今、坂崎さんに感じている感情と同じものを
学生時代も感じてたんだなって、今更ながら気付いてさ」
「それで、初恋だって思ったわけ?」
うん。
カップを両手の中で包み込み、彼は小さく頷いた。
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