第5章  初恋って……?(続き)

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「俺、小学校の三年まで海外で育ったし、 こっちに戻ってきてからも、中学卒業までは三回くらい転校しててさ。 それに俺、昔から、ちょっと変わってるから、 なんとなく人の輪の中に、どっぷり入れなくてね。 だけど、それに大きな苦を感じる訳じゃない反面、 メダカっていうか、小川の生態に、異様にのめり込んでてね」 つまり、親しい人間関係よりも強く引かれるものに 好奇心を持っていかれ、「恋」というものとは縁遠かったということらしい。 「それが、高校生になって変わったわけ?」 「変わったっていうか、 そういう事に気が向けられる、ちょっとした隙間が出来たっていうかね」 中学から続けて、高校でも入部した生物部の顧問が、 彼が二年生に上がると同時に変わった。 しかし、その新しい顧問となんとなく合わず、 クラブ活動がつまらなくなり、退部したのだという。
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