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恋、か―― 。
何しろ、彼に対する感情に、「恋愛」が入っているのか実感がない。
感じるのは、彼との空気感の居心地の良さと、それに伴う気楽さ。
だが、そこに艶っぽさは、微塵も感じられないのだ。
それだけに、先日の彼の告白に対する答えが、どうにも見付からない。
いやそれ以前に、彼がそんな感情を私に抱いた事が、あまりにも驚きだった。
その一方で、
「でも――」と、私は、手にした見積書に目を落としてポツリと思う。
このまま終わりっていうのは、ちょっと寂しいかな。
そしてまた、
「坂崎さん。見積もり、どうですか?」
春香ちゃんの声に我に返って、書類の数字を追ったのだった。
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