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まだ新しい木製のベンチに腰を下ろすと、
私は、持ってきたトートバッグから
小振りのポットと携帯カップを取り出し、彼に紅茶を差し出す。
「ありがとう」
ちょっとぎこちなくそれを受け取る彼と一緒に、
温かい紅茶を、私も、そっとすすった。
ハチミツの甘さが優しく、やや緊張する私たちの間の空気も
ふんわりと包み込む。
そして、私の方から小さく口火を切った。
「ねぇ、結城くん。ひとつ聞いていい?」
うん。
低く頷いた彼に、素直に尋ねた。
「この前言ってた、私が初恋の相手らしいって話。どういう意味?」
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